*** 「 好きなひとと」 ***
朝からひとりソワソワしていた彼。
放課後になると力尽きたのか、机に突っ伏して大きなため息を吐いた。
「今年も1個かぁ…」
「……その1個って、」
「母さんから。お情けの1個」
彼の言葉にホッと胸を撫で下ろす。
「じゃあ、今年は……2個、だね」
「……ん?」
差し出したチョコレートと私を交互に見る彼。
「これって。……マジで?マジでか」
母親以外から貰えたのがそんなに嬉しいのか。
目をキラキラと輝かせて喜ぶ彼が愛おしい。
「義理じゃ、ないからね」
「……え、」
鈍感で単純な彼の頭の中はきっと、はてなマークで埋め尽くされている。
私の精一杯の告白を、どうか受け止めてくれますように。
もし受け止めてくれたなら。
「今度は手づくりにするから。受け取ってくれると、うれしい」
私の『好き』が、どうか届きますように。
《完》
朝からひとりソワソワしていた彼。
放課後になると力尽きたのか、机に突っ伏して大きなため息を吐いた。
「今年も1個かぁ…」
「……その1個って、」
「母さんから。お情けの1個」
彼の言葉にホッと胸を撫で下ろす。
「じゃあ、今年は……2個、だね」
「……ん?」
差し出したチョコレートと私を交互に見る彼。
「これって。……マジで?マジでか」
母親以外から貰えたのがそんなに嬉しいのか。
目をキラキラと輝かせて喜ぶ彼が愛おしい。
「義理じゃ、ないからね」
「……え、」
鈍感で単純な彼の頭の中はきっと、はてなマークで埋め尽くされている。
私の精一杯の告白を、どうか受け止めてくれますように。
もし受け止めてくれたなら。
「今度は手づくりにするから。受け取ってくれると、うれしい」
私の『好き』が、どうか届きますように。
《完》