あの日は雨が降ってて空気がジメジメして、イライラしてた。こんな土砂降りの中、ちっこい女の子が座ってたから、びっくりした。
声をかけた方がいいのか迷った。でもこの子は赤の他人だ。知らない男子高校生に話しかけられたら普通気持ち悪がられるよな…。そんなこと考える前に、体が動いた。
「君さ、何してんの?」
俯いてた少女が俺の方を見上げた。なんだ、結構可愛いじゃん。
少女は、「え、誰。」って顔だ。申し訳なくなってくる。話しかけちゃってごめん。困るよな普通に。
「誰、ですか」
そりゃそうだ。俺は他人なのだから。