嵐のようだったイリスを気にしつつ氷麗とチトセが着替えを進める。私の傍には氷麗もいたのにチトセと半裸の私が抱き合っていた(ように見える)のは衝撃的すぎて気づかなかったのかもしれない。
「緋女様、お着替えが終わりましたよ」
チトセが最後に私の白い羽織りを着せ、私にレイピアを差し出す。私はそれを腰に指し、氷麗に弟の部屋、私の部屋、さらに私の書斎の掃除を頼み、チトセ連れて部屋を出た。
するとそこにイリスが立っていた。彼女は新人メイド、フルネームは蓮糸(はすいと) イリス。そう、あむの妹だ。証拠に彼女も薄紫色を基調とした着物を思わせる服を着ている。丈は随分と短いスカートになってはいるが…。女郎蜘蛛の姉を持つにも関わらず彼女は蜘蛛要素がほとんどなく、年齢も150歳だと明言しているが定かでは無い。
「イリス、緋女様に何か御用ですか?」
私のかわりにチトセが問うとイリスは首を振る。お団子ツインになっている髪が左右に揺れる。
「いえ……あの……」
イリスはチトセの顔を見てから目をふせる。先にさっきの光景の話を先にすべきだろう。
「イリス、部屋に入るときはノックが大事だぞ?何をしているかわからないし、さっきみたいに着替えをしていることもあるからな」
そう言うとイリスは首をかしげ、何かに気づいたような顔をして、また赤くなる。百面相をしている。
「も、申し訳御座いません!まだノックに慣れなくて」
そう言ってイリスは頭を下げる。
一般家庭ではノックに馴染みがないのか、蓮糸家だけなのかはわからないがまだ慣れないようだ。確かにあむも透李の部屋に無断で侵入していたし……。
「で、何の用だ?」
私が聞くと、イリスはポケットからエメラルドグリーンのブローチを取り出した。どこかで見た気がするが忘れてしまった。
「これを先程拾ったのですが、執事長のものではないですか?」
するとチトセがいつになく焦った顔をし、そのブローチを受け取る。一気に安堵した顔になりそのブローチを真っ白なハンカチに包みポケットにしまう。
「ありがとう御座います、イリス。これはとても大事なもので……探していたのです。どこにあったのですか?」
「執事長室の廊下の隅です。昨日は私が忙しくてねるまに掃除を頼みました。それにしても珍しいですね、執事長が落とし物なんて。几帳面なの……に……」
イリスが止まった。
それもそのはず、イリスの目の前にはいつになく怖い顔したチトセがいた。両目の下にあり、いつもは閉じられている、第3第4の目も今にも開きそうでピクピクしている。
チトセは大きく深呼吸をすると
「イリス、本当にありがとう御座います。参りましょう、緋女様」
と気を取り直しその場を離れた。
「緋女様、お着替えが終わりましたよ」
チトセが最後に私の白い羽織りを着せ、私にレイピアを差し出す。私はそれを腰に指し、氷麗に弟の部屋、私の部屋、さらに私の書斎の掃除を頼み、チトセ連れて部屋を出た。
するとそこにイリスが立っていた。彼女は新人メイド、フルネームは蓮糸(はすいと) イリス。そう、あむの妹だ。証拠に彼女も薄紫色を基調とした着物を思わせる服を着ている。丈は随分と短いスカートになってはいるが…。女郎蜘蛛の姉を持つにも関わらず彼女は蜘蛛要素がほとんどなく、年齢も150歳だと明言しているが定かでは無い。
「イリス、緋女様に何か御用ですか?」
私のかわりにチトセが問うとイリスは首を振る。お団子ツインになっている髪が左右に揺れる。
「いえ……あの……」
イリスはチトセの顔を見てから目をふせる。先にさっきの光景の話を先にすべきだろう。
「イリス、部屋に入るときはノックが大事だぞ?何をしているかわからないし、さっきみたいに着替えをしていることもあるからな」
そう言うとイリスは首をかしげ、何かに気づいたような顔をして、また赤くなる。百面相をしている。
「も、申し訳御座いません!まだノックに慣れなくて」
そう言ってイリスは頭を下げる。
一般家庭ではノックに馴染みがないのか、蓮糸家だけなのかはわからないがまだ慣れないようだ。確かにあむも透李の部屋に無断で侵入していたし……。
「で、何の用だ?」
私が聞くと、イリスはポケットからエメラルドグリーンのブローチを取り出した。どこかで見た気がするが忘れてしまった。
「これを先程拾ったのですが、執事長のものではないですか?」
するとチトセがいつになく焦った顔をし、そのブローチを受け取る。一気に安堵した顔になりそのブローチを真っ白なハンカチに包みポケットにしまう。
「ありがとう御座います、イリス。これはとても大事なもので……探していたのです。どこにあったのですか?」
「執事長室の廊下の隅です。昨日は私が忙しくてねるまに掃除を頼みました。それにしても珍しいですね、執事長が落とし物なんて。几帳面なの……に……」
イリスが止まった。
それもそのはず、イリスの目の前にはいつになく怖い顔したチトセがいた。両目の下にあり、いつもは閉じられている、第3第4の目も今にも開きそうでピクピクしている。
チトセは大きく深呼吸をすると
「イリス、本当にありがとう御座います。参りましょう、緋女様」
と気を取り直しその場を離れた。