挨拶もそこそこにあむと透李は連れ立って厨房に向かう。私はピザ風トーストをそろそろたべきる頃、あむと透李が2人分の朝食を用意し主人と卓を共にしているのをさほど気にした様子もなく談笑(透李は悪態ばかりだが)しながら食事をはじめた。

私がチトセの入れたコーヒー(ミルクと砂糖入り)を飲んで部屋に戻るタイミングで2人も食事を終える。

「美味しかったっすね〜」

あむが満足そうに言うのを見ながら横を通り過ぎると背後からチュッと官能的な音がし振り返る。いつもは動じないチトセまでも振り向いて、厨房から出てきて私のお皿やティーカップを片付けていた葉月も固まっていた。

「な。な、なん……透李っち……?」

「あまりに惨めな様子が視界に入ったから不快になっただけだ、他意はない」

あむの口の端についていたピザソースを透李がさも当然かのように舐め取り、あむは真っ赤。当の本人は本当に気にしてなさそうに食器をあむの分もまとめて厨房に持っていく。

葉月はそのタイミングでティーカップを落としてしまう。

「あぁ!王妃陛下お気に入りの殿下愛用のティーカップが…!?申し訳ございません!片付けなければ…」

私とチトセも動揺していたが、葉月があまりにも動揺していて少し落ちついた。

にしてもあんなラブラブなのになんで付き合ってないんだろう……?付き合えよ。
恋愛に全く興味のない私でもそう思うくらい2人はお似合いだ。