ねるまの調子が戻りわかれようとするとねるまがこれから孤児院に行くといい、丁度いいから一緒に行くことになる。

そのまま玄関に向かう途中、透李が通りかかったのでチトセが護衛に着いてくるように命じる。

「ふむ、周囲を観察し、今起こってる現状を吟味しているのだな、悪くない行いだ、どれ、我も同行してやろうではないか」

少し生意気だがそういうといつも私が出かけるとき付いてくる定位置に陣取り、いつでも応戦できるようにカイトシールドの位置を確認しているから不思議な奴だ。

チトセ、ねるま、透李の3人を引き連れて歩いていると、炎の国の王、私のお父様の海神 色人が声をかけてきた。

「おや緋女、どこかに行くのかい?」

お父様は少し申し訳無さそうだ。そんなお父様に首をかしげながら答える。

「はい、お父様。これからチトセとデートです。何か御用ですか?」

チトセとデートと言うとお父様は少し嬉しそうにしたが直ぐに申し訳なさそうな顔に戻る。

「あぁ……チトセくんと。いっておいでと言いたいのは山々だが……すこしチトセくんを借りていいかな?」

「旦那様、お急ぎの用事でしょうか」

「あぁ。少し良いかな?」

「かしこまりました。少々お待ちくださいませ」

チトセはお父様に頭を下げると私と透李とねるまに声をかける。

「申し訳ごさまいません、緋女様。お出かけは昼食を頂いてからに致しましょう。ねるまは部屋に戻っていなさい。透李は緋女様をお部屋まで送って差し上げて下さい」

チトセは私達3人にそう指示を出し、お父様について行こうとし、途中で気づいたように振り返り

「昼食時にまたお部屋に伺いますね」

と私に言うと足早にお父様を追った。

私がそれを見届けると透李が何も言わず私の部屋の方向に歩き出したのでそれを追う。
彼は意外にも私が別の使用人とすれ違うとさりげなく守ったり、部屋に付いたらドアを開けてくれたりと普段はチトセがやってくれることを全てやってくれた。

彼はチトセが来るまで待つつもりだったようだが生憎隊長に呼ばれたと言って部屋を出ていった。…フログメントが教えてくれたのか、嘘だったのかは分からないが。