それに奇襲感は否めないけれど、彼は純玲の両親に挨拶をするという契約内容を履行してくれている。

 テーブルに置かれた婚姻届をじっと見つめていると、泰雅はスッとそれを純玲の方に滑らせる。

「契約期間の2年、ふたりで協力してうまくやっていかないか?」

「……わかりました。よろしくお願いします」

 こうして純玲は婚姻届という契約書に印を押すことになった。