離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました

 一方“社長令嬢”でなくなる瑠美はどうなるのだろうか。
 そもそも彼女が百田に入社できたのは、菊間専務のコネだったという。
 その専務と父親が裏切った百田に残ることなどさすがにできないだろう。

 そして肇のこと。
 話し合いが終わり、社長室を辞した泰雅と純玲は肇と出くわした。
 寄り添うふたりに不満そうな肇に泰雅は氷のように冷たい視線を投げて言った。

『人の父親の事を嗅ぎまわる暇があったら、自分の足元よく見ておくべきだったな――純玲を傷つけた代償はキッチリ払ってもらう』

 どうやら、肇も叔父の不正に協力していたらしい。
 それ以外にも泰雅曰く“セコイ余罪”がいくつかあるらしい。知りたくもないが。
 そもそも小野寺家から勝手に書類を持ち出したことも窃盗だ。恐らく彼も百田を追われることになるだろう。

 肇は冷酷に笑った泰雅の表情に怯え、逃げるようにその場を立ち去っていった。

(あの時の泰雅さんの顔、怖かったなぁ……)

 思い出すと寒気がする。
 思わず自らの両腕を抱えるようにしていると、泰雅が心配そうに「寒いのか?」といって傍らにあった薄手のブランケットを肩にかけてくれた。