神崎は学生の頃から社長の腹心として彼に仕えてきたと聞いている。
 この人が知らないはずがないのだ。
 
 純玲が言うと神崎は静かに声を落とす。

「定時後でしたら何とかしましょう――その前に僕と少し話しませんか?」