離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました

 純玲は泰雅を信頼し、高校生の時に自分が養子であることも話した。
 両親と養子縁組の解消ができないかと思い相談したのだ。

 当時、純玲は自分が養子でいる限り、父が親兄弟と断絶してしまうと悩み、思いつめていた。
 既に弁護士になっていた泰雅は『ご両親の気持ち考えてみて欲しい。君が娘でいたくないなんて言われたらひどくがっかりするんじゃないか』と真剣に諭してくれた。
 すぐに結論を出さなくてもいい。この先困ったことがあったら、俺が全力で力になると。

 あの時、泰雅への淡い憧れは恋に変わった。
 でも、有能な弁護士として活躍する大人の彼と、さして取り柄のない子どもの自分とでは差があり過ぎる。教え子として関われるだけで幸せだと恋心は秘めたまま過ごしてきた。

 泰雅は忙しい時間を縫って勉強はもちろん、進学先や就職についても相談にのってくれた。長い付き合いの中、親戚の妹くらいには思ってくれていたかもしれないが、もちろんそこから進展することはなかった。

 4年前、彼が留学したのを機に純玲は不毛な恋に区切りをつけることにした。
 すぐに吹っ切ることは出来なかったが、時間をかけやっと新しい恋に踏み出せていた……終わってしまったけれど。

 肇のことを思い出してしまい、純玲は誤魔化すようにビールを飲み干した。