離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました

「……『百田に純玲は渡さないでほしい』……それと『純玲には好きになった人と結婚させてあげて』、そう真紀は言ってたわ」
 母は目を潤ませながら言う。 

 当時百田財閥は後を継いだ雄一郎の父が心臓の病を抱えていたこともあり、次期総帥の座を巡って様々な駆け引きが行われていたらしい。愛人の子が複数いたことも総裁の妻を苛立たせた。

「そんな環境の中、純玲を百田家にやるわけには絶対にいかなかったんだよ。まあ、うちも君にとってそんなにいい環境じゃなかったけど。でも、百田に君をやったら君を誰も守ってくれないと思ったんだ……実の父百田雄一郎でさえ全く信用できなかった。だって、真紀さんを平気で切り捨てるような男だろう」

 かくして両親は養子として純玲を迎え入れることになった。

 しかし、純玲が小野寺に引き取られてすぐ、なんと百田雄一郎本人が父にコンタクトを取って来た。

 雄一郎は淡々と純玲が自分の娘だった場合、百田に引き取ると申し出、DNA検査を要求したのだ。

「雪乃さん、めちゃくちゃ怒ってね。何がDNA鑑定だ。他の男の子かも知れないと思ってるのか。切り捨てた上、亡くなった真紀をバカにするのはやめろって」