離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました

 実家の玄関先では両親が待っていた。

 時間は既に11時過ぎ。泰雅からの電話で妊娠を知った両親に体調を気遣われたが、純玲の希望でリビングで話をすることになった。

「……白石先生から、聞いた。純玲が知ったと」

 目の前に並んで座る両親は、見たこともないような沈痛な面持ちをしている。

「お父さん、何で……」
 教えてくれなかったの? と言う言葉が喉に貼りつく。

「今まで黙っていてすまなかった。全部話すから……まずは、聞いて欲しい」

 そういうと父は話し始めた。


 純玲は百田財閥の御曹司である百田雄一郎と看護師として働く宮野真紀の間に生まれた子供だ。

 当時真紀が勤めていた総合病院で担当していたのが特別個室の入院患者だった百田兼蔵(けんぞう)
 雄一郎の祖父、純玲の曽祖父に当たる人物になる。

 病状が進み、余命いくばくも無い兼蔵を見舞う家族はほとんどおらず、秘書や雇われた人間が事務的に訪れるばかりだった。
 
 百田グループに入社し日の浅かった雄一郎も滅多に見舞うことは無かったのだが、たまたま病室を訪れた彼に真紀は『病気の人は身体だけではなく心だって弱ってるんですから、ご家族が顔を見せただけで元気になるんです!』ともっと見舞い来てほしいと頼んだ。