離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました

『擬父:百田雄一郎 子:小野寺純玲』 『擬父は子の生物学的な父と判断される』

 その文字に釘付けになったまま視線が動かせない。

(……社長が、私の実の父親……?)

 ドクドクと鼓動が鳴り始め、言葉が出ない。記憶残る笑顔の母の肩を抱いた20代とおぼしき社長が柔らかい表情でおさまった写真を前にしても、理解が追いつかない。

「言っとくけどわざわざ偽造なんてしてないからな。君の養父母が持っていたものを見つけて瑠美のばあさんがコピーしておいたんだろうな」

 可能性があるとしたら、父が家族を連れて本家を出る頃だ。あの後間もなく祖母の認知症が進み入院してしまったから、本人すらよく覚えていない状態でこの資料が放置されていたのかもしれない。

「急に社長秘書に抜擢されていたからてっきり君も承知の上でと思ったんだけどな」

「知らな、かった……」

 肇に応えるでもなく、純玲は呟く。

 今まで誰も教えてくれなかった。
 少なくとも両親は知っていたはず。でも、泰雅も知っていて黙っているなんてあり得るだろうか。

 純玲の考えを読んだように肇は続ける。