離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました

 次々と襲い来る負の感情に押しつぶされ、ベッドに上半身を投げ出しながら動けずにいると、静かな部屋にスマートフォンの着信音が響き渡る。

 一瞬、肇からの着信かと思ってビクリと体が強張ったが、画面に表示されたのは“白石先生”。
 慌てて通話ボタンを押す。

「――もしもし、白石先生?」

『純玲ちゃん、久しぶり。元気だったか?』

 声の主は白石泰雅という男性だ。大手法律事務所に所属する優秀な弁護士で、純玲より7つ年上で現在32歳。
 彼が大学生の時、父の喫茶店の常連だったことが切っ掛けで勉強を見てくれてきたひとだ。
 中学3年生から大学受験が終わるまで、その後も英文科に進んだ純玲の英会話の先生としてずっとやりとりが続いていた。

「……はい、なんとか元気にやってます」
 本当は今、元気と対極の所にいます……と思いつつも、彼の落ち着いた低い声にふっと力が抜ける。

「先生は先月戻られたんですよね。おかえりなさい」
 勤務先の指示でアメリカに留学していた泰雅は、4年ぶりに帰国したところだった。

 留学中も彼は月に数回パソコン越しに純玲の英会話の練習相手をしてくれ、お互いの近況も伝えあっていた。

『あぁ。こっちに帰ってきてやっと少し落ち着いたんだ。一度会社帰りにでも会えないかな? お土産も渡したいし』