離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました

 わざわざ話すことではないから、会社ではだれにも話したことはない。
 苗字は小野寺ではあるが、そこから直接オノデラ貿易につながるとは思えない。

(肇さん、社内で顔が広いから、人事部の誰かから聞いんだろうな……)
 プロポーズされたとき、純玲は自分が養子であることを初めて肇に告げた。
 血の繋がりはなくても両親は喫茶店を営みながら実の子供のように育ててくれたと。そんな大切な両親に会って欲しいと。

(でも、きっと肇さんは社長令嬢と結婚して将来は社長になりたかったのね)
 当てが外れたと思っていた時瑠美が入社してきた。瑠美は自分がオノデラ貿易の社長令嬢だということを公言して憚らなかったから、彼女が『本物』だと知った肇はすぐに瑠美に乗り換えることにしたのだろう。

「勝手に私が社長令嬢って勘違いした上に、騙されたって言われても……瑠美ちゃんとと付き合うなら別れてからにして欲しかった……」
 明日からどうすればいいだろう。もちろん彼の本音と瑠美との関係を知った今、別れる選択肢しかないけれど、何より困った問題があった。

「お父さんとお母さんに結婚するって言っちゃったよ……どうしよう」
 両親に結婚したい人がいるから会って欲しいと連絡してしまっていた。
 無かったことにするしかないのだが、どう説明したらいいだろう。