離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました

 しかし、麗は「そう、それなら安心ね」とにっこりと笑う。

「で、相談は?」

「あ、そうそう。揉めてた例の案件なんだけど、急に向こうから和解の申し入れがあって……」

 泰雅が麗に尋ねると、彼女はタブレットに資料を表示させ話を進めようとする。

 並び立つ美男美女の弁護士は近寄るのも憚られるほどお似合いだ。

「あの、泰雅さん。仕事のお話を聞くわけにもいかないので、やっぱり私お先に失礼しますね」

 我に返って出した声は少し硬くなってしまったかもしれない。
 泰雅は仕方がないな、と息をつく。

「すまない。気を付けて帰れよ。俺もなるべく早く帰る。今草野さんに来てもらうから」

 その後、泰雅に呼ばれた草野にエレベーターホールまで見送ってもらい、事務所を後にした。

 ビルを出ると空はどんよりと曇っていて、梅雨明けしたというのに湿気を含んだビル風を感じる。
 純玲はその中にさらに溜息を吐き出した。

(なんで泰雅さんはあんなに綺麗で優秀で性格も明るい麗さんとの縁談を断りたかったのかな……)

 同業者の彼女なら仕事に理解があるはずだから、結婚することで仕事がやり易くなったのではないだろうか。