離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました

 たしかに、彼に所内を案内されている間、若い女性職員からの視線がやけに刺さった。
 直接『白石先生の奥様ですか?』と話しかけてきた職員もいた。その度隣で泰雅は紹介してくれたが。

 立ってるだけで人の視線を集める人だ。さらに優秀なパートナー弁護士とくれば、惹かれない独身女性はいない。彼の専属になりたい女性が殺到するのは無理もない。それでは仕事がまともに回らないと考えたのだろう。

(密室の執務室で色仕掛けにでもあったら大変だもんね……)

 こうして事務所を歩きまわるのは、泰雅が自ら結婚したことを知らしめるためなのかもしれないと思い、その後は更に背筋が伸び、作り笑顔に気合が入る純玲だった。

 一通り見学が終わり、純玲は泰雅の執務室に通された。個室で彼とふたりきりとなり、やっと気が抜けた純玲はソファーにちょこんと座りながら、ふうと少しだけ力を抜く。
 ひとまず、事務所への挨拶ミッションは無事終わりそうだ。

「純玲、お疲れ様。何か飲むか?」

 泰雅は執務デスクには座らず純玲の向かいのソファーに腰をおろす。

「いえ、ご挨拶も済みましたし、もう帰りますね。夕食作っておきます」

「帰るのか?」