優美なダンスを身に付けようとしているのに、自分は美しさから、どんどん遠ざかっているように感じてしまう。
ダンス教室の講師にも「無理をせずに、少しずつで良いんですよ」と言われしまった。まだ始めたばかりなのに焦るから、良くない方向に進んでしまうのだ。
年末に別れた彼とも、そうだった。
二人の生きる時間のスピードが異なるように感じて、だんだんとすれ違うことが増えていった。
そして彼は、大学を出たばかりの、ふわふわと綿菓子のように可愛らしい雰囲気の女の子のもとへと行ってしまった。
もっとも、ずいぶんと前から彼の不自然な行動に違和感を覚えてはいたが、芽依は見ないふりをしていた。それが、友人の麗香が彼を嫌う理由の一つだ。
