フランケンシュタインとは、とある小説に登場する天才科学者だ。彼は人造人間の開発に成功するものの、誕生したのは醜い怪物だった。フランケンシュタインはそのおぞましさから逃げ出し、捨てられた怪物は迫害を受けて人間に復讐をしていく。

組織のことを考えていた桜士の前に、カクテルがスッと出される。ライムの入った透明のカクテルだ。

「カイピロスカです」

「ありがとう、頂くよ」

バーテンダーがカクテルの名前を言い、桜士はロックグラスを手に取り、口をつける。口の中にふわりと広がるふくよかな甘みがライムの酸味を抱き込み、たまらない。

「灰原、捜査ありがとう。また一歩組織壊滅に近付いた」

「ありがとうございます!九条さん!」

カイピロスカのカクテル言葉は、「明日への期待」。捜査は一日で終わるものではない。時間をかけ、確実な証拠を掴まなくてはならないのだ。時間がかかるのは当然である。

(いつか、あの組織を潰せたらーーー)

桜士は一花の笑顔を思い浮かべ、カクテルにまた口をつけた。