君が好き

私がそう聞くと、昴は少しずつ話し出した。

「……俺の家、父さんと僕と、三人の弟と、三人の妹の八人家族なんだよ……」

「え、多っ」

昴は少し笑ってから続きを話した。

「でも、うち、母さんが死んじゃって、貧乏だからさ。下の弟たちのためにも、お金が必要で。そんな時、この高校を見つけて……」

「そうだったんだ……」

嫌なやつだと思っていたけど、根はいいやつなんだな……。

「だから、さっきはあせちゃって、悪かった……」

昴は目を伏せながら私に謝ってきた。

「いいよ。っていうか、私の方こそごめん。色々言っちゃったし」

「ああ、見た目はまあまあイケメンなのに中身最悪、とか?」

「昴こそ、見た目おとなしそうなのに中身こわ、とか言ってきたじゃん」

「いや、莉子の方がひどかった」