その日の夜、私は全く寝付けなかった。

勉強にも集中できなかった。

宿題も終わらなかった。

布団の中で闇を見つめながら、何度も寝返りを繰り返す。

そんな時間の過ごし方をしても、解決なんてしない。

無意識のうちに、今日の帰り道の出来事を頭の中で再生してしまう。

どうして?

なんでハヤトくんにあんなことを言われるの?

なんで…?

周りの友達に恵まれていたことに甘えて、対人関係を疎かにしてきたことのツケが回ってきたんだろうか。

特に、異性との関係に対して。

ヤヨイちゃんやミカちゃんみたいに、もっと恋愛の話をすれば良かったのかな。

ユイさんみたいにちゃんと恋人を作れば良かったのかな。

クラスの女子達に混ざって、学校内で誰がかっこいいと思うかとか、その輪に加われば変わったのかな。

そうするべきだったとしても。

そうだったとしても、少なくとも、ハヤトくんとは友情を育んできたという認識だった。

中学生の時、周りの友達からからかわれたりしたけど、私達はそういうのじゃなかった。

ハヤトくんも周りの友達に対して、強く否定してくれていた。

信じていたのに。

『信じてた…?何を?』

ひとりごとを呟いてみても分からない。

この混乱は簡単には解決なんてしない。

もう寝よう、寝ないと。