『えーいいですか。来年は受験生です。えー、今のうちからしっかりと準備をしていきましょうねぇ。』

私は、教卓で熱弁するベテラン女教師の話を真剣に聞いていた。

先生のお話はちゃんと聞かなければ。

来年度受験を控えている。

私が進学を希望しているのは、難関校と呼ばれている国立大学だった。

中の上くらいしかない自分の成績では、今からコツコツと頑張らないと間に合わない。

難関と呼ばれる大学を希望する理由は、家族の為だ。

親孝行をしたいと思うから。

1人っ子の私を、両親は愛情たっぷりに育ててくれた。

偏差値が高い大学に進んだ方が、就職時の選択肢は大幅に広がるし、高い賃金を得られる可能性も高まる。

あと、学費が安い方が家計にも優しい。

両親からは、無理なくそこそこの学校で大丈夫だよって、言われてはいる。

そう言ってくれることはとても嬉しいけれど、その言葉に甘えちゃだめだ。

そして現在、新学期を迎えたばかりの9月。

高校生2年生の2学期といえば、体育祭、文化祭、修学旅行といったイベントが盛りだくさんだ。

教室内は既に浮き足立っているような気がする。

周りの友達も、このイベントに乗じて彼氏を作るとか言っていた。

私はイベントに浮かれたりしないし、勉強一筋だ。