かつては普通の家庭だった。
父親も、お母さんも、二人の兄、「大成」と「颯太郎」も。
その安定していた家庭を壊したのはこの私。「葵」だ。家族からは「あーこ」とよばれている。
どうして私が生まれてきたことによって家庭が崩れたのか。それは私の体自体にに問題があったからだ。

私は生まれつき持病を持って生まれてきた。
定期的な通院はもちろんしなければいけなかったし、入院をすることも少なくなかった。
そのため、家庭に金銭的な負担がかかったり、私一人で病院まで行けるはずもなかったので、両親どちらかに連れて行ってもらうしかなかった。

そんな生活が三年半ほど続いた。次第に父親はこの負担を私や、家族にぶつけるようになった。
はじめの方は私達に手をあげることはなかった。しかし、私が四歳の誕生日を迎えたあたりから本格的な虐待が始まった。