ピピピピ、ピピピピ、ピピピピ。とアラーム音が防音の個室に響く。
「…っはぁ〜。」
夏也「…ふう。」
「む、難しかった…。」
ぐでー、としてる夏也の様子を見る限り相当疲れたようだ。そりゃそうだ。
高校二年生の私でもこんなに手間取ったのだ。
中学3年生が疲れないわけがない。
12時なのでご飯を食べてから丸付けしよう。
そう思って、席を立つ。
夏也「…紗綾?どこ行くんですか?」
「お昼ごはん!久しぶりに疲れたから食べないと!!」
夏也「ご飯なら僕が用意してますよ。」
「え!?どういうこと!?」
夏也「一緒に食べようとおもいまして。交流を深める機会かなと。」
「そうなの!?やったー!!なになに?何が入ってるの??」
夏也「和食ですよ。まあ、単純なものしか入ってませんけど。」
そういいながら机に重箱を置き、蓋をぱかっと開けた。
…いや、重箱って、運動会かぁーーー!!!
なんで重箱なん!?普通のお弁当箱かと思ったわ!!!
せめて二段弁当でしょ!!!!
でも、美味しそう…。単純なもの、って言ってたけどそんなコト全然ない。
明らかに作るのが難しそうな飾り切りで彩られた料理たち。
なんか金魚いるし。
え、これ…人参!?
にんじんで金魚作れんの???
すごっ!!器用すぎるでしょ!!!
「金魚って、にんじんで作れるっけ???」
夏也「はい。作れますよ。ちょっと難しいですけど。まあ、作りは単純なので。」
「いやいやいや!!絶対難しいやつじゃん!!」
夏也「どうぞお食べください。食べられるくらいの味にはなってるはずですよ。」
「…じゃあ、いただきます!!」
手を合わせて、いただきますをしたら、夏也も箸を手に取る。
卵焼きから食べよっと!!あまり食べられないんだから、軽いものから食べていかないと!
夏也「だし巻き卵ですね。意外と王道なものから行くんですね。」
「なっ!失礼な!私を何だと思ってるの!」
夏也「世界でケンカ最強の、胡蝶だと思ってます♪」