予定の時刻の10分前に私と母親は予約の入れられているレストランへ向かった。


母親は白いスーツに黒いパンプス。


私も薄いピンクのワンピースに白いヒールをはいてきた。


こんな風に清掃して食事をしに来るのは初めてで、緊張でまた心臓が早鐘をうち始めていた。


「こんなお店を予約できるなんて、すごいね」


まだ相手の人は来ていないようで、通された窓際の4人席に座って小声で話す。


ビルの高層階にあるこのレストランは窓からの眺めも最高だ。


「お母さんも緊張しちゃう」


いつもより丁寧に化粧をして少し頬を赤く染めている母親は一弾とキレイだと思う。


恋をする女性はキレイになるというけれど、それは本当のことみたいだ。


母親とお店の感想を言い合ってる間に相手の男性がやってきた。


背が高くてスタイルがいい。


笑ったら目元にシワができて可愛らしい印象になる男性だ。


年齢は母親と同じ46歳らしい。


ふたり並んでいるところはよくお似合いで、なぜだか胸の奥がキュッと切なくなった。


今まで女でひとつで私をここまで育ててくれた母親。