そう思ってドアに手を伸ばしかけたときだった。


「誰だよあの美少女! あんな子この学校にいたか?」


その言葉を聞いて私は動きを止めた。


美少女……。


それは明らかに私のことではなかった。


私は地味なメガネ女子で、誰からも好かれてなんかいない。


「マジで? どんな子だよ、写真ないのかよ!?」


「写真があったとしてもお前らには見せねぇよ」


「なんでだよ、見せろよなぁ!」


男子たちのはしゃぐ声はすでに私の耳には届かない。


きっと悦司は空き教室に来る前か、来た後にその子と会っていたんだろう。


それを目撃したに違いない。


それに、そんな風にこそこそ会うってことは悦司のその美少女はきっと……。


そこまで考えたとき「その子のこと、好きなのか?」という言葉が聞こえてきた。


息を殺して悦司からの返事を待つ。


隠し撮りする上に盗み聞きなんて性格が悪いと自分でもわかっている。


だけど聞かずにはいられなかった。