「ミチ、ちょといい?」


後ろから聞こえてきたその声は嫌とは言わせない威圧感があって私は体をビクリと震わせた。


相手の期限を損ねないよう、無理に笑顔を作って振り向く。


どうせなにかよくない頼み事をされるのだろうという予感があっても、決してそれを顔には出さない。


だって相手は秘密高校1年B組のボス。


金田雅子だから。


雅子は金色に染めた髪の毛をクルクルに巻いてとてもゴージャスな見た目をしている。


同時期に高校生になったとは思えないくらい大人びていて、見た目は20代半ばでも通用する。


そんな雅子に憧れた女子たちが集まり、B組の頂点グループは出来上がっていた。


そのため彼女たちの会話の中心には常に雅子がいて、美容関係や、好きな男の子の話題なんかでもりあがっている。