聡には特別な感情はないんだから、絶対に勘違いしちゃダメだ。


自分にそう言い聞かせて、気を取り直してお茶を用意する。


ふたつのグラスに麦茶を入れて食器棚の下からスナック菓子の袋も取り出した。


トントンと階段を上がっていくと、絶妙なタイミングで部屋のドアが開かれた。


「サンキュ」


聡は私からお盆を受け取ってテーブルに戻った。


プリントはあと半分くらいのところまで来ている。


この分だとあと1時間もあればすべて解き終えるはずだ。


冷たい麦茶を一口飲むと心がホッとする。


焦ったり慌てたりしていた自分がすーっと遠ざかっていくようだ。


聡は持ってきたスナック菓子の袋をあけてさっそく食べ始めている。


その姿が子供みたいで思わず微笑んだ。


「なんだか思ってたよりも可愛いね」