気になることはたくさんあったけれど、なにも聞くことはできなかった。


「俺はずっと桃子のことが好きだった」


突き放されるとわかったからか、英祐が慌てた様子でそう告げた。


その瞬間私の動きが止まる、


鼓動が加速していき、嬉しさで今にも飛び上がってしまいそうになる。


だけどダメだ。


だって、私は生徒で英祐は先生になってしまったから。


「なんで?」


私は少しだけ英祐へ視線を向けてつぶやく。


「え?」


英祐は私の言葉の意味がわかっていないようで、目を泳がせた。


「なんでこんな状況になってからそんなこと言うの!?」


告白ならもっと前に聞きたかった。


許されない関係になる前に、伝えることができたはずだ!


「英祐のバカ!」


私はそう怒鳴ると、空き教室から逃げ出したのだった。