綺麗な青空の昼下がり、私はいつものあの場所へ。


「魔女さーん♪何してるんですかぁ??」

金色の少女は、黒髪でいかにも魔女らしい姿の妖艶な女に、元気よく言う。…が、一瞬少女を見たかと思えば溜息を吐いて足を止めぬまま歩く。

「ま、魔女さぁん!?ち、ちょっとー無視しないで下さいよぉー!!」

私は魔女さんについていく。

「…………、いいのかしら?人魚姫さん?こーんな、北の海に来ていたらまた王様に叱られるわよ。
………………………馬ー鹿。」

魔女は、くすりと微笑めばまた冷たい様な表情で言い放ち歩いてゆく。

「むー……酷くないですか?」
「酷くない。」
「魔女さーん……。」

これが、いつものやり取りだ。

そう、少女は人魚。海の名前は知らないが、一応は地球の西側辺りである。

人魚は、海の王・ポセイドンの愛娘で、第一王女。
だから、魔女と深く関わるのを禁じられていた。

人魚の名前は、無い。人魚は昔から、人魚姫としか呼ばれていなかった。