【完結】吸血鬼の花嫁~罪人聖女と呼ばれた私は、再会した幼馴染の彼に溶けるほど溺愛されています~

 すると、オズはもう一度フィーネの横に座ると、その跡をそっと触りながら言う。

「それはね、吸血鬼の花嫁の証だよ」
「吸血鬼の花嫁?」
「ああ、花嫁になる者の証としてある。そしてその対になるものとして、僕の胸には青い跡がある」

 そう言って自分の胸にある跡を見せると、ふっと優しい微笑みを向ける。

「こうしてみると、薔薇みたいじゃない?」

 確かに、よく見ると二つの跡は薔薇のような模様に見えており、綺麗なものに思える。
 フィーネはそっと自分の胸の跡を撫でると、今度はその腕をオズに掴まれて瞳を見つめられる。

「僕の花嫁、フィーネ。僕のお嫁さんになってくれますか?」

 その目は赤く光った目をしていて、彼が人間でないことを如実に表している。
 彼の艶めかしい唇と、そして色気の溢れる瞳を見て、彼女は覚悟を決めて告げた。

「はい、私をオズの花嫁にしてください」
「もう逃がさないからね?」

 そう言って二人の影は重なった──


 吸血鬼と人間が恋をして惹かれ合い、そして共に過ごすことを決めた。
 決して同じ刻の流れではない二人は、いつか決断する時が来るのかもしれない。