「君を傷つける者は絶対に許さない。君を捨てた伯爵家はね、税金で不正をしていてね、それを暴いて彼らは牢獄にいる」

 フィーネにとって初耳だった。
 彼らに虐げられた過去は消えることのない傷として残っていて、そして彼らによってオズとの婚約生活も終わりを迎えた。

「それに、君のお母さんは今僕の親戚の家で無事にいるから安心してほしい」
「本当ですか?!」

 本当の母親のことは常に心配しており、気にかけていたフィーネからすると、とても嬉しい情報だった。
 フィーネは思わず口元を覆って涙を流して、よかった、と小声で話す。

「今度、一緒に会いに行かない?」
「いいのですか?」
「もちろん、僕の奥さんとして紹介したいんだ」
「奥さん……」

 その言葉に再び赤みを帯びた彼女の頬をそっとオズは優しい手つきで撫でる。

「フィーネ、君のその胸の赤い跡は何か知っているかい?」
「え?」

 そう言えば、昔から赤い跡があり、これが原因でいじめを受けたり、身請けに失敗した。
 気味悪がられる原因であったのだが、フィーネにしてみてもどうしてこんな跡があるのか不思議だった。