フィーネは目が覚めると、視線の先に昨夜ディナーを共にした方の顔がぬんと現れた。

「うわっ!」
「しっっっつれいね!!! そんなお化けみたような声出さなくてもいいじゃない!」

 ぷんすかといった様子で拗ねる様子は、昨夜もみたエルゼの仕草そのものだった。
 昨日よりもドレスが普段着寄りになっており、そしてメイクも心なしか落ち着いている。
 いや、そんなことより、と言った様子でフィーネはエルゼに声をかけた。

「何か粗相でもございましたでしょうか?」
「なんで?」
「なんでと申されましても、その、私の部屋に朝早くからいらっしゃるということはよっぽどのことかと」
「何言ってるの、もうお昼よ?」
「え……?」