「吸血鬼はね、普段はある森でひっそりと集落をつくって暮らしている。そしてその存在は王族だけが知っているんだ」
「王族だけが」
「ただね、ここにいる自由奔放な母上は少女の頃に森の外に出てね」
「そうなのよ~! うっかりそこで人間と恋に落ちちゃってね~! それがオズのお父様♪」

(なるほど……昔から自由奔放な方だったのね)

 オズは苦笑いを浮かべながら話を続ける。

「まあ、それで僕が生まれたわけだが……」
「吸血鬼はかなり寿命があると思っているのですが、もしかしてオズ様は300歳くらいだったりしますか?」
「いや、実は吸血鬼は人間社会により溶け込めるように20歳まではほぼ人間と変わらない見た目で成長する。だから僕はまだ21歳だよ」
「そうでしたか……では?」

 とフィーネはちらりとエルゼの方を見つめてしまう。
 すると、エルゼはむっとした表情でフィーネに言い返す。