エリート国際弁護士に愛されてますが、身ごもるわけにはいきません


「瑠衣」
「あ、でも大丈夫ですよ。先にお風呂に入ってきてくださいね」
「風呂も夕飯もあとでいい」

せっかく想像だけで堪えていたはずのシチュエーションを実行したくなるほど、可愛く健気な瑠衣が悪いのだ。

「先に瑠衣がいい」
「え……っ」

案の定、真っ赤になってなにも言えなくなる彼女にどうにも堪らなくなり、大和はそのまま瑠衣を横抱きにして寝室に向かう。

「きゃっ、大和さんっ?」
「食べずに待っててくれたのにごめん。でも可愛い瑠衣が悪い」

驚いて首に抱きついてきたのに気をよくし、そのままベッドに横たえて自らも乗り上げた。

頬や額にキスを落とすと、はずかしさに瞳が潤み始める瑠衣の愛らしさにクラクラする。

彼女を意識し出したのはいつからだっただろう。

瑠衣の父、如月英利と出会ったのは大和が高校三年の頃。

金だけ振り込んで親としての義務を果たし終えたつもりでいる離婚した両親や、ルックスと有名私立高校に在学しているというだけで大和に言い寄ってくる多数の女性たちに辟易していた時だった。