「……いつかまた、アメリカで彼らと一緒に働きたいですか?」
聞いてどうするというのだろう。
大和はすでに英利に事務所を継ぐと同意し、芽衣と結婚もしている。
案の定、彼は普段通りにこやかに答えた。
「いや。確かに凄い案件だけど、興味はないな。今は瑠衣がいるし、こっちには守るべきものがあるから」
まるで愛しいものを見るかのような瞳で見つめられ、嬉しいはずなのに心が引き攣れたように痛む。
大和は誠実で真っ直ぐな人だ。きっと本心からそう思ってくれている。それは疑っていない。
結婚を決めてから五ヶ月余りだが、一緒にいればいるほど惹かれていくし、少なからず彼も瑠衣に好意を寄せてくれているとは思う。
それは恋ではなく、限りなく家族愛に近い感情かもしれないけれど、夫婦として穏やかに過ごしてきた。
だけど、この結婚は父である英利の提案があったからこそ。それがなければ、大和はいずれアメリカに渡っていたのではないだろうか。
子供をつくるという条件の結婚だったにも関わらず、彼は当初避妊していた。
それは瑠衣のことを慮ってくれていたからなのだが、もしかしたら大和本人にもまだ迷いがあったからかもしれない。



