エリート国際弁護士に愛されてますが、身ごもるわけにはいきません


瑠衣は頼もしい彼を眩しい思いで見つめていると、ふと過去の記憶を脳裏に呼び起こされた。

あれはたしか、大和が留学先のカリフォルニアから帰国したお祝いをした時だった。

『アメリカはどうでしたか? 弁護士さんはただでさえ難しい用語が多そうなのに、それを英語でこなせるなんて尊敬しかないです。やっぱり、いずれは向こうで活躍したいですか?』
『うーん、そうだな。機会があれば。やり甲斐はあったよ。とにかくスケールの大きな案件が多いし、日本とじゃ弁護士の仕事の幅もかなり違ったし』

大和の過去の言葉を思い出し、ぞわりと瑠衣の心が嫌な感じに波打つ。

以前も感じた一抹の寂しさが、今は不安を伴って胸の中に広がっていく。

(あの時も、大和さんはいずれアメリカに行きたいんだろうなって感じたんだった。じゃあ今は……?)

報道番組はいまだに過去最高額のM&Aの話題を取り上げていて、大和も食事をしながらテレビに時折視線を向ける。

(自分が専門とするM&Aの大きなニュースを聞いて、大和さんはどう思うんだろう。もしかしたら、自分もこんな案件を持ってみたいって思うのかな)

カリフォルニア州の弁護士資格を持っている大和ならば、希望すればそれが叶う。

海外を拠点にすれば、今回のように短期間で八千六百キロもの距離を行ったり来たりする必要もない。

瑠衣は心の中の動揺を悟らせないよう、番組を見ている大和に話を振った。