エリート国際弁護士に愛されてますが、身ごもるわけにはいきません


さらに大和は瑠衣に今回の海外出張の目的を、守秘義務に抵触しないよう詳しい内容や固有名詞を出さずに説明してくれた。

M&Aコンサルタントの依頼を受けたあるIT企業の譲渡先を検討するにあたり、候補から絞った二社の担当者と実際に会って面談や交渉の前段階の調整などをしていたらしい。

「難しそうで、大変なお仕事ですね」

先程のニュースほどではないにしろ、会社の買収となればとても大きな金額が動くに違いない。

その重圧を背負いながら相手と交渉し、依頼人にとって有益な取り引きを成立させなくてはならないのだ。

ありきたりな言葉しか出てこない自分に呆れてしまうが、大和が気分を害した様子はない。

むしろ瑠衣の労いの籠もった言葉に嬉しそうに微笑んだ。

「その分やり甲斐はあるよ。先生には到底及ばないけど」
「そんな。父も大和さんの優秀さを頼りにしていると思います」

だからこそ、まだ若い大和に事務所の未来を託すと決めたのだ。

「そうだな。先生の期待に応えられるように頑張らないと。あ、あと悪い。来週、もう一度出張が入りそうなんだ。相手がどうしても対面がいいと譲らなくて」
「もう一度って、アメリカに?」
「あぁ、次はカリフォルニアじゃなくてニューヨークだけど」
「忙しいですね。身体が心配です」
「ありがとう。短期間に立て続けて海外出張が入ったからそう見えるけど、実際はそこまでじゃないから大丈夫」