エリート国際弁護士に愛されてますが、身ごもるわけにはいきません


「今回の出張中はどうしたんですか?」
「……久保が『本場のハンバーガーを食べたい』とか『ここのBLTサンドを食べるまで帰れない』とかうるさくて。会食以外はほとんどがジャンキーな店で食べる羽目になった」

思い出してげんなりしたのか、眉間に皺を寄せて大きなため息をついた。

初対面を果たして以降、仕事帰りの待ち合わせ場所に何度か現れては邪険にされている久保の顔が浮かび、瑠衣は顔を綻ばせる。

今回の出張に行く際も、前日に『先生に金髪美女が寄ってきても、僕が一夜の間違いなんて起きないように見張ってますから! 奥様は安心してくださいね』と言い放ち、大和から冷たい視線を浴びていた。

「ふふっ、なんとなく想像できます。それなら和食を用意して正解でしたね」
「瑠衣が作ってくれた料理ならなんでも美味いよ。ありがとう」

さらっと嬉しいことを笑顔で言われ、瑠衣の鼓動が早まる。

ただでさえ一週間ぶりの大和にドキドキしているのに、これでは心臓が持ちそうにない。

少し落ち着こうとテレビに視線を向けると、報道番組のアナウンサーが、アメリカの大手食品会社が日本の有名飲料メーカーに対するM&Aに過去最高額で成功したと伝えている。

グループ会社すべての株式を買収し、子会社化する契約を締結。買収する関連会社は百を超えており、いかに巨額の取り引きだったのか、それを成し得た企業や取り纏めた代理人弁護士の凄さを、経済に詳しいコメンテーターが興奮気味に解説していた。