すると、大和は大きくため息をつきながら言った。
「やっぱり。あいつが政略結婚だなんだって噂話があるように言ってたけど、そんな外野の声なんて気にしなくていい。これは俺の瑠衣の結婚なんだから、周りがどう言おうと関係ない」
「へ?」
思っていたのと違う指摘に、瑠衣の口から間抜けな声が漏れた。
「違った? 久保が〝政略結婚〟なんて言うから、てっきりそれを気にしてるんだと思ったんだけど。あいつ、本当に余計なことしか言わないから。ちゃんと明日叱っておく」
瑠衣の脳裏に、大和から叱られてしょんぼりする久保の姿が浮かび、慌てて首を横に振った。
「いえ、違います! 政略結婚っていうのは、はじめ父から聞いた時に私も同じことを思ったので、事務所の人がそう感じてもおかしくはないし、全然気にならないです。そうじゃなくて、大和さんは美人な弁護士とか可愛いパラリーガルに迫られてたのかなって思ったら、なんだかこう、モヤモヤしちゃって……」
変に焦ったせいで言わなくてもいいことまで言ってしまい、瑠衣はハッと口を噤む。
失言を聞き逃すはずもなく、大和は瑠衣の顔を覗き込んできた。
「それ、職場の女性に嫉妬してるって聞こえる」
からかうというよりも真意を問いただすように見つめられ、瑠衣は真っ赤になってぎゅっと瞳を閉じた。
優秀な弁護士相手になにを言っても、きっと見透かされてしまう。



