「悪いな、騒がしくて」
「いえ。久保さんは大和さんについてるパラリーガルなんですか?」
「あぁ、あれでかなり優秀なんだ。経験も豊富だし、コミュニケーション能力も高い。静かで余計なことさえ言わなきゃもっといいんだけど」
「ああいう人がいると、職場が明るくて楽しくなりそうですね」
英利がよく実家に若手の弁護士を連れてくることはあったけれど、大和をはじめ、みんな真面目で落ち着いた雰囲気の人ばかりだった。
久保のようなズバ抜けて明るいタイプの人間と法律事務所は結びつかないが、百名を超えるスタッフを抱えているのだから、色んな人がいるのだろう。
それよりも気になったのは、久保の発言だ。
(美人な弁護士とか、可愛いパラリーガルに口説かれてたのかな。そりゃ、同じ職場にこんなにカッコいい男性がいれば、好きになっちゃうのもわかるけど……)
家に着くと、帰り道からだんまりになった瑠衣の顔を大和が不思議そうに覗き込む。
「瑠衣? どうした?」
「あ、いえ。すみません、ちょっと考え事を」
そう濁したが、言葉数が少なくなった原因はシンプルに〝ヤキモチ〟だ。
職場にいる綺麗な女性たちに対し、胸の中に小さな嫉妬心が芽生えたことに、瑠衣自身も驚いている。



