エリート国際弁護士に愛されてますが、身ごもるわけにはいきません


「や、大和さん。お先にお風呂使ってくださいね」

名前を呼ぶだけで、急に新婚夫婦のような気分になる。

(いや、実際に新婚夫婦なんだけど。そうじゃなくて)

大和が嬉しそうに笑うせいで、余計に照れくさい。終日空調システムが効いている部屋なのに、外にいた時よりも身体が熱い気がする。

「ありがとう。瑠衣は夏でもお湯を張る派? 俺はいつもシャワーだけなんだけど」
「私は湯船に浸かりますよ。その方が疲れが取れる気がして」

動揺を隠して他愛ない会話をしてからバスルームに向かう大和を見送り、瑠衣ははたと気付いた。

(今日がいわゆる〝初夜〟ってことになる、よね……?)

式は挙げていないが入籍を済ませて夫婦になったのだから、今夜が正真正銘の初夜だ。

この結婚の目的は、大和が事務所を継ぎ、如月の血を引く瑠衣との子供を儲けること。

はじめてのデートで彼は言っていた。

『結婚するまで、ちゃんと我慢する。瑠衣は、それまでにゆっくり心の準備をしてくれたらいい』

あれから一ヶ月。トントン拍子に入籍に漕ぎ着け、ゆっくりとは言えない気もするが心の準備をする期間はあった。