『仕事と家庭の両立は大変だろうけど、瑠衣なら大丈夫。無理をせず、瑠衣らしく頑張るのよ』
『うん、ありがとう』
『身体には気をつけて。大和さんと仲良くね』
『うん』
『瑠衣、お父さんにはハグはないのか』
『ふふ、英利さんは待ってて。今は私と瑠衣の時間です』
泣き笑いに包まれた如月家のリビングは、とても幸せな時間が流れていた。
その時を思い返すと、瑠衣はまた瞳が潤んでしまいそうになる。
何度かパチパチと瞬きを繰り返していると、大和がクスっと笑って瑠衣の手を取った。
「じゃあどこかで食べて帰ろうか、奥さん」
手をつなぐ。そんな些細な触れ合いさえ入籍まで控えてくれていたのか、大和と手を繋ぐのははじめてだ。
ドキドキしながら握り返して隣を見上げると、大和が優しい眼差しでこちらを見つめている。
「はい、旦那様」
瑠衣もはにかみつつ微笑むと、心なしか大和の耳がほんのりと赤くなった気がした。



