エリート国際弁護士に愛されてますが、身ごもるわけにはいきません


「サイズのお直しに時間を頂戴いたしますため、お渡しは一ヶ月後となります」

丁重に店の外まで出てきた担当女性と数人のスタッフに見送られ、瑠衣と大和は駅方面に向かって歩き出した。

「高城さん、ありがとうございます。あんなに素敵な指輪を買っていただいて」
「夫婦になるんだから当然だ。気に入るものが見つかってよかった」

優しく微笑みながら瑠衣の左手を取ると、今はなにもついていない薬指の根本をさらりと撫でる。

たったそれだけの小さな仕草に、瑠衣の鼓動は大きく高鳴りだす。

買ってもらったたくさんの洋服も、高価な結婚指輪も嬉しいが、なにより大和が自分を〝未来の妻〟として扱ってくれることが、心が震えるほど嬉しい。

彼にとっては恩人から持ちかけられた断りにくい結婚で、自分が勤める事務所の未来のために結婚を決めたに違いない。

けれど誠実に向き合ってくれる大和に惹かれているのを、瑠衣は認めざるを得なかった。

(私、高城さんが好きだ……)

大和の手を握り返そうとした時、彼のスマホが鳴り、ハッとして手を引っ込めた。

「悪い、音を切るの忘れてた」
「大丈夫ですよ。出てください」
「ごめん、ありがとう」

律儀に瑠衣に謝ると、大和はディスプレイで相手を確認してから電話に出た。