エリート国際弁護士に愛されてますが、身ごもるわけにはいきません


車を走らせること十分。着いた先は見上げると首が痛くなるほど大きな高層マンションだった。

地下一階、地上三十四階建てで、まさにそびえ立つという表現がぴったりな建物は、都心とは思えないほど多くの緑に囲まれ、エントランス前には噴水や飛び石の歩道があり、建物以外の敷地だけで二千平米はあるらしい。

まるで瑠衣の働く高級ホテルのように背の高い重厚な扉をくぐると、エントランス内もまた素晴らしくラグジュアリーな空間だった。

コンシェルジュカウンターが設置されており、ダークブラウンの横壁には水槽が埋め込まれ、熱帯魚が優雅に泳いでいる。

ソファセットもそれぞれ距離をとって三つほど設置されており、住人同士のコミュニケーションを取ったり、来客の対応をするのに使用されるのだろうと思われた。

彼の部屋は二十八階にあるらしく、カードキーを翳すと勝手に二十八のボタンが点滅し、エレベーターが上昇する。

こんな風に男性の部屋に行った経験もほとんどなく、狭い空間では心臓の音が大和に聞こえてしまいそうだ。

(どうしよう、緊張してきた……)

大和の部屋の前にたどり着くと、玄関の扉の解錠しようとする彼の手がぴたりと止まった。

「高城さん?」

不思議に思って声をかけると、苦笑とも諦めともとれない笑顔で「いや、いずれバレることだしな」と呟いた。