エリート国際弁護士に愛されてますが、身ごもるわけにはいきません


(下着がどうとか身体の相性とか、考え過ぎだよ。まだ入籍前だし、彼の言う通り、住むところすら決めてないんだから)

火照った頬を冷ますように両手で包んでいると、それを運転しながら横目で見ていた大和がクスッと笑って瑠衣をからかってきた。

「なに、昼間から俺が部屋に連れ込んで襲うと思った?」
「いっいえ! そんなこと」

ブンブンと首を横に振るが、否定すればするほど肯定しているように見えてくるのはなぜだろう。

羞恥と居たたまれなさで小さくなっていると、赤信号で停まったタイミングで大和の腕が伸びてきた。

毛先だけアイロンで巻いた髪を指先で梳き、大きな手がぽんと頭に乗せられる。

「心配しないで。結婚するまで、ちゃんと我慢する。瑠衣は、それまでにゆっくり心の準備をしてくれたらいい」

優しく穏やかなトーンで発された言葉は、裏を返せば、結婚後は必ず瑠衣を抱くという意味にもとれる。

もちろんそれも込みでこの結婚を承諾したのは瑠衣なのだから、今さらギャーギャー騒ぐ方がおかしい。

けれど経験豊富そうな大和と違い、瑠衣の恋愛遍歴は大学時代に同い年の彼氏がひとりだけ。それも、友人関係でいたほうが互いにしっくりくると、一年ほどで別れてしまった。

それ以降は仕事が楽しくて恋愛に興味が向かず、なんとなく独り身のまま過ごしてきた。

もしかしたら、父はそんな瑠衣を心配して今回の話を持ちかけたのかもしれないけれど、とにかく瑠衣は男性に対して免疫が低い。

ドキドキしてうまく返すこともできないまま信号は青になり、大和の手はすぐに引っ込められた。