それほど大切に抱かれると、まるで愛されているかのような気分になってしまう。

この結婚は父のため。事務所の未来のため。

だからこの行為も、跡継ぎをつくるためだけにしているはずなのに。

頬を撫でていた手がゆっくりと身体を辿り、瑠衣の膝を抱えるように差し込まれた。

「あ……っ」

そのままゆっくりと大和の熱が埋め込まれ、瑠衣は快感に身を捩る。

「あ、は……っ」

嬉しさとも苦しさともつかない声が漏れ、のけぞった喉元を痛いほどに吸われた。

「だ、め……」
「大丈夫、痕はつけない」

大和の言葉に安堵すればいいはずなのに、少しだけ寂しく感じる自分はひどく矛盾している。

それを見ないふりで彼の大きな背中に手を回して縋り付くと、大和は包み込むように抱き返してくれた。

触れ合う素肌が心地よいと瑠衣が感じるように、彼も感じてくれたらいいと思う。