「私、大和さんと結婚できて幸せです」

恋をしないまま結婚を決めた時は、こんなにも幸せな毎日が訪れるなんて思ってもみなかった。

彼の妻として胸を張って側にいられるのが嬉しくて仕方ない。

満面の笑みで言葉にすると、左手を恭しく持ち上げられ、心臓に最も近い指にはまる誓いの証に唇が触れる。

まるで絵本の中の王子様のような仕草が様になり、瑠衣の胸は無条件にときめく。

「瑠衣、愛してる」
「はい。私も、愛してます」

大和に包まれていた手を彼の首に回し、初めて自分から唇を重ねた。

冬なのに乾燥知らずの彼の唇は温かく、触れ合わせた途端、そこから幸せが溶け出していく。

大和は突然の瑠衣からの口づけに驚いたのか一瞬身体を揺らしたが、すぐに抱きとめて好きなようにさせてくれた。

こんな風に触れたくて仕方がないと思うのは初めてで、どうしたらいいのかわからない。

けれど、いつも肌を重ねる時、大和が瑠衣から欲しがらせようとしているのは明白で、それに従うととても嬉しそうに相好を崩すのを知っている。