「こういうの、すごく憧れてた」
自分の心の声が漏れ出たような小さく呟く声に驚き、隣でシンクを磨いていた大和を見上げると、蕩けるような眼差しでこちらを見つめている。
「ふたりで食事して、一緒に片付けをして。なにげない日常だけど、この積み重ねが夫婦の形を作っていくんだって感じる」
「私も、同じことを考えてました」
嬉しくなって微笑みを返すと、大和は瑠衣が持っていた食器を棚に戻し、真剣な表情で両手をそっと包み込んだ。
「ありがとう、瑠衣。俺と結婚してくれて」
大和の右手の親指が、結婚指輪をつっと撫でる。
思いがけない言葉に、嬉しさで瞳が潤んでいく。
「大和さん」
購入時〝運命の出会いを果たしたふたり〟というコンセプトを聞き、自分にはもったいないと感じた指輪。
いつかこの永遠を誓うリングに相応しい夫婦になりたいと、ずっと願っていた。
ぴったりと並んだダイヤモンドのように、ずっと彼の隣にいたい。



