エリート国際弁護士に愛されてますが、身ごもるわけにはいきません

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十二月の最終週。法律事務所の年末年始は休暇となるが、ホテル業界は繁忙期。通常よりも休みは少なく、フロント勤務の瑠衣も多忙な毎日を過ごしている。

新年を日本で迎えようという外国人観光客も多く、今日は何度も英語で観光地への行き方を尋ねられ、内心ドキドキしながら対応した。

「ねえ、瑠衣って前からそんなに英語上手だったっけ?」

早番を終えて更衣室で着替えていると、同じシフトだった梓がきっちり結んでいた髪をほどきながら聞いてきた。

「今日もスカイツリーへの行き方とか、チケット売り場の場所まで案内してたでしょ?」
「まだ単語とボディランゲージに頼ってるけどね。時間がある時に大和さんに教えてもらってるの。でも実践で慣れるのが一番かなって思って、積極的に話してみてる」
「確かにこの時期、外国人のお客様多いもんね。私も英語勉強し直そう」

こうして切磋琢磨できる同期がいるのはありがたい。瑠衣は梓を頼もしく感じ、笑って頷いた。

「そういえば、元カノ問題も解決してよかったね。あ、元カノでもなかったんだっけ」
「うん、ありがとう」

三人で話した翌日、『ニューイヤーズパーティーは家族で過ごす予定なの』と語る彼女はホテルをチェックアウトし、カリフォルニアへ帰国していった。