エリート国際弁護士に愛されてますが、身ごもるわけにはいきません


「まさかとは思うけど、井口になにか言われた?」
「や、あの……この格好じゃ話せないです」

照れて下りようとする瑠衣の腰をがっちりと掴んで抱き込むと、諦めたのか動かなくなった。

小さく背中を丸め、耳からうなじまで真っ赤になっている姿が劣情を誘うが、今は話の続きだと腰に回した手を拳にして耐える。

「それで? 彼女になにを言われた?」

自信過剰で行動力のある沙良のことだ。もしかしたら事務所で大和が所長の娘と結婚したと知ったあと、相手がホテルで働いていることまで調べ上げて会いに行ったとも考えられる。

瑠衣の話では、フロントでたまたま客として来た沙良に対応したのが彼女だったらしい。

如月法律事務所への行き方を聞かれ、さらに〝忘れられない人に会いに来た〟と話した沙良の相手が大和だとは思わず、いくつかおすすめのレストランを紹介したようだ。

「先週初めてお会いした時は、私が大和さんの妻だって知らずにホテルの従業員として接しただけなんですけど、今日は話がしたいと私を待っていて。その、自分の方がパートナーに相応しいから、大和さんと返して、と……」

とんでもなく誤解を招く沙良の発言に、大和は額を押さえ、苛立たしげにため息をついた。

瑠衣の悩みに追い打ちをかける存在になったであろうことは想像に難くない。